アスベストとは
アスベストは「石綿」とも言われる天然の鉱物繊維です。約100万年前の火山活動により形成されたとも言われています。
アスベストは耐熱性、耐薬品性、絶縁性などに優れているため、建築物や電化製品などの素材として重宝され、幅広い用途で長い期間利用されてきました。
このため、アスベストは今も私たちの身近に存在しています。例えば学校、ビル、駅舎や集合住宅など建築物の断熱材、防音材、耐火材、保温材として、また、自動車のブレーキパッド、石油ストーブの芯などの素材として、あらゆるところで目にすることができるのです。
アスベストの歴史
アスベストはとても細かく軽量な繊維です。また防火性、耐熱性に優れているため、建物の外壁や屋根など広範囲にわたって使用され続けてきました。
しかし、軽量で細かな繊維は肺などに入り込みやすく、健康被害が古くから取りざたされてきました。1930年にはすでに、人体に有害であるという報告がなされてきたといいます。
ところが、戦争やその後の高度経済成長の際には、アスベストは広範囲で、大量に使用されることになりました。他に取って代わる代替品がなかったのです。
アスベストの使用制限が考え始められたのは2006年になってからでした。発がん性が問題となり、シール材など5製品以外の使用が全面的に禁止となりました。そしてこの5製品も2011年までに全廃することとなりました。
アスベストを取り巻く環境
前述の通り、アスベストは軽量さ、微細さゆえに肺に入り込みやすく、肺がんや中皮腫などの病気を引き起こす危険性があります。
しかし代替品が無かったため、1970年代から1990年代にかけて大量に輸入され、耐火性、断熱性、遮音性に秀でた建築資材としてありとあらゆる建物に使用されてきました。その使用料は15万トンとも20万トンとも言われています。
1950年から、じん肺法などアスベストの対策法はあまた制定されてきましたが、本格的な使用禁止が叫ばれ始めたのは2000年代に入ってからでした。現在では健康被害が広がらないよう、多くの企業が既存の建築物に含まれるアスベストの除去に取り組んでいます。
アスベストの種類
アスベストは、2種類に大別することができます。蛇紋石と角閃石です。
まず蛇紋石ですが、見た目が蛇の皮に似ていることからこの呼び名が生まれました。蛇紋石はさらにアンチゴライト、リザーダイト、クリソタイルの3つに分けられます。顕微鏡などで見ると、アンチゴライトは葉片状、リザーダイトは塊状、クリソタイルは繊維状になっています。
この中でクリソタイルから生成されるアスベストは温石綿と呼ばれ、かつては建築の壁材として吹きつけられてきました。2004年に使用禁止となるまで、建材として重宝されてきた歴史があります。
一方、角閃石はクロシドライト、アモサイト、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの5種類に大別されます。この中でクロシドライトはクリソタイル同様建材としてあらゆる箇所で使用され続けてきました。
クロシドライトは耐熱性の他、アルカリに対する耐性が優れており、また防音性、防音性もあることから、青石綿という名で広く生成されてきました。アモサイトも耐熱性に強いことから茶石綿の名で利用されてきました。